ポルトガル語には完全過去形と不完全過去形があります。
参考書などを見るとポルトガル語の不完全過去の使い方には次の4通りがあると書いてあります。
①過去の持続していた動作・状態
A casa era grande e a porta estava fechada.
その家は大きくて、扉は閉まっていました。
Antigamente nós tínhamos um cachorro.
以前、私はこの雑誌を毎週買っていました。②過去の習慣・反復された動作
Antigamente meu pai fumava muito.
昔、私の父はたくさんタバコを吸っていました。
Antes eu comprava esta revista todas as semanas.
以前私はこの雑誌を買っていました。③過去のある時点において信仰していた動作
Eu estudava ingês quando minha mãe chegou em casa.
母が家に着いたとき、私は英語を勉強していました。
Eu dormia profundamente quando o despertador tocou.
目覚まし時計がなったとき、私は深い眠りについていました。④過去の並行した2つの動作
Enquanto eu lia un livro,minha irmã tocava piano.
私が本を読んでいる間、妹はピアノを弾いていました。
Enquanto eu esperava o ônibus,passavam vários táxis.
私がバスを待っている間、多くのタクシーが通り過ぎていきました。
出典:ニューエクスプレス ブラジル・ポルトガル語
これらの用法は参考書の通りに理解すればいいでしょう。
ただ日本語に訳すと結局、「~してた」「~てた」「~ってた」
という形になるときに不完全過去形を使います。
ややこしければそのように覚えても問題ありません。
不完全過去は英語にはない文法ですが、英語で言えば完了形の継続と過去進行形の中間のようなイメージですね。
実は不完全過去形は、とても便利な表現で私たちも普段の会話でよく使っています。
例えば、saber(知る)動詞の場合、1人称単数形で考えると、
Eu sei (私は知る or 私は知っている) ・・・・現在形
Eu soube (私は知った) ・・・完全過去形
Eu sabia (私は知ってた) ・・・不完全過去形
このようになりますよね。
上の例の場合、完全過去形と不完全過去形どちらが日本語でよく使うでしょうか?
saber動詞の場合は圧倒的に不完全過去形ではないでしょうか。
友達と会話をしながら、何かに対して「あれ知ってた?」と尋ねる場合も、つまるところ「て」が入っているので不完全過去形を使って「sabia?」と言うだけです。
このように不完全過去形は簡単に「~していた」という線の過去を表現できるので、超便利なんです。
英語のようにわざわざ過去進行形を使わなくても済むからです。
かと言って、例えば、「買う」という意味の「comprar」の場合は「買ってた」よりも「買った」という完全過去のほうがよく使う気がしますね。
要するに実践的にはどちらも使いますし、動詞によっても違いますよ、ということです
じゃあ次の文はどうでしょう、
Quando eu era o universitário, eu estudava matemática.
大学生だった時、数学を勉強していました。
この場合は一文で不完全過去形が2回出てきています。
era(serの不完全過去)とestudava(estudarの不完全過去)です。
大学生だったのは、過去に何年か継続した出来事なので、線の過去となり不完全過去形を使います。その間勉強していたと言いたいので「estudar」も不完全過去形にします。
また次の文はどうでしょうか。
Eu jogava basquete com meus amigos ontem.(不完全過去)
Eu estava jogando basquete com meus amigos ontem.(過去進行形)
私は昨日、友達とバスケットをしていました。
これは不完全過去と過去進行形の比較ですが、日本語だと同じ訳になりますね。
多くの場合は別にどちらを使っても意味は通るでしょう。
不完全過去と過去進行形は微妙な違いなのでどちらを使っても理解してくれると思います。ですので、必ずこうじゃないといけないというわけではなく、使うときは敏感にならなくてもいいでしょう。
正確には、この2文の違いは次のようなイメージだと思います。
上の文は不完全過去形なので昨日バスケットをある一定時間やっていたという事実を伝えています。
対して下の文は過去進行形なのでその時間にまさにバスケットをしていたという躍動感や動きが強調される言い方です。下の分のほうが少し文学的なイメージですね。
このように不完全過去形は日本語でも普通に使っている表現なので、ポルトガル語でも重宝しますよ。しっかり理解して使えるようにしてくださいね。