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【ポルトガル語の再帰動詞、再帰代名詞】よく分かる解説から使い方、分類まで一挙に公開。

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ポルトガル語には再帰動詞という分かりづらい文法があります。

再帰動詞とは『levantar-se』『queixar-se』『arrepender-se』などのように『se』や『me』などを伴う動詞。この時の『se』『me』などは再帰代名詞と言います。

これが分かりにくいのは、ポルトガル語の中には再帰動詞としてしか使われないものとそうじゃないものがあるからでしょう。

よって完璧に理解しようとはせず、基本的なことだけ頭に叩き込んで次に進むのが賢明です。

ここでは最低限知っておきたい再帰動詞の基本について解説します。

ポルトガル語の再帰動詞、再帰代名詞



ポルトガル語の再帰動詞とは?

ポルトガル語の動詞には、基本的に他動詞として使うものがあります。

例えば『levantar(起こす)』『lavar(~を洗う)』といった動詞です。

他動詞が自動詞と異なるのは、目的語が必要であるという点です。

先ほどの『levantar(起こす)』で『私は起きる』と言いたい場合に

Eu levanto.

としたくなりますが、ここでも『levanto』は他動詞なのです。

よってこのままだと『私は起こす』となってしまい、『いや、何を起こすの?』と、分からなくなってしまいます。

目的語が必要とはそういうことですね。

目的語をあえて書けば

Eu levanto eu.(私は私を起こします。)

となり、一応これでも意味は通ります。

しかしこの『eu』の繰り返しを避けるために

Eu levanto-me

と再帰代名詞を使うわけです。再帰動詞はこの考えが基本です。

再帰代名詞には『me』『se』『nos』があります。

主語による再帰代名詞の違い

下表に示すように主語によってつける再帰代名詞は異なります。

人称 主語 再帰代名詞
一人称単数 eu me
三人称単数 você,ele,ela se
一人称複数 nós nos
三人称複数 vocês,eles,elas se

よってブラジルポルトガル語における再帰代名詞は『me』『se』『nos』の3つだと覚えておけばいいでしょう。

再帰代名詞の位置は動詞の前か後ろ

再帰代名詞の位置は動詞の前でも後ろでもどちらでもいいです。

後ろ
eu me levanto eu levanto-me
ele se queixa ele queixa-se
nós nos vestimos nos vestimo-nos
eles se vestem eles vestem-se

ただし、以下のポイントは確実におさえておきましょう。
・後ろに置く場合は動詞とハイフンで繋ぐ。
・口語では前に置くパターンが多い
・三人称単数で動詞の後に置く場合、動詞の活用の『s』が消える。

再帰代名詞が原則必要な動詞とそうじゃない動詞

先述しましたが、ポルトガル語には、原則、再帰代名詞を伴う動詞と、場合によってつけたり付けなかったりする動詞があります。

ちなみに前者をポルトガル語ではVerbos pronominais essenciaisといい、後者をVerbos pronominais acidentaisと言います。

Essenciaisは『本質的な』という意味に対して、acidentaisは『偶発的な』という意味です。

よってacidentaisは常に再帰代名詞を伴うわけではないのです。

代表的なVerbos pronominais essenciais(原則再帰代名詞が要る)

・abster-se
・condoer-se
・apiedar-se
・queixar-se
・arrepender-se
・suicidar-se
・atrever-se
・zangar-se
Etc..


次に代表的なVerbos pronominais acidentais(場合による)

・aceitar / aceitar-se
・debater / debater-se
・enganar / enganar-se
・esquecer / esquecer-se
・iludir / iludir-se
・lembrar / lembrar-se
・pentear / pentear-se
・ver / ver-se
Etc..

これらがすべてではないので参考程度にとどめてください。


再帰代名詞の4つの用法

再帰代名詞は目的語の代わりに置く代名詞ということでしたが、もう少し詳しくすると以下の4つに分類されます。

①本来の再帰
②自動詞化
③受け身
④相互的用法



①本来の再帰

Eu me sinto bonitinha.
私って可愛い(私は自分自身を可愛いと感じる)


Ela se feriu com aquele garfo.
彼女はあのフォークでけがをした。

この用法は『自分自身に』という語を付けても意味が通じるものです。

2番目の文では『ferir』はもともと『傷つける』という意味の他動詞です。よって『彼女自身を傷つけた』という意味で『se』があるのです。

② 自動詞化

再帰代名詞によって自動詞としてふるまうものです。

Nós nos sentimos desagradável.
私たちは不愉快に感じます。


Eu me visto no quarto.
私は部屋で着替えます。

『vestir』も『着せる』という意味の他動詞ですが、再帰代名詞を付けることで自動詞として機能しています。

また最初の文では、『Nós nos』と2回もの『nos』が続いていて奇妙に感じますが、文法的にはこれで正しいです。

ただポルトガル語は主語を省略できるので

Nos sentimos desagradável.

としても間違いではないですよね。口語だと結果的にこのようになる場合もあります。

③受け身

意味としては受け身ととらえると理解しやすいものです。

Vendem-se as casas.
家々が売られています。


Aluga-se uma casa no centro da cidade.
市街の中心で家が貸し出されています。

『alugar』とか『vender』という単語はブラジルの看板などでもよく見かけます。

受け身的な用法ですので一文目は

As casas são vendido.

としても同じ意味になりますね。

④相互的用法

Eles se entreolharam sem trocar palavras.
彼らは言葉を交わさずにお互いを見つめた。


Elas sempre se falavam pela manhã.
彼らはいつも朝に話し合っていました。
Nós vamos nos abraçar em breve.
手短にハグをしましょう

この用法では『お互いに~する』という意味を内包します。
『uns aou outros(お互いに)』という語を付けても意味が通ります。

ここまで4つの用法を紹介しましたが、ブラジルのサイトなどを見ると
・Conjugação pronominal reflexiva
・Conjugação pronominal recíproca
の2つで説明されていることが多いです。

Reflexivaは『反射的』、recíprocaは『相互的』という意味で、私も本質的にはこの二つで理解したらよいのでは?と考えます。

上記で見ると

①本来の動詞、②自動詞化、③受け身の3つは『reflexiva(反射的)』
④相互的用法は『recíproca(相互的)』という具合にです。



まとめ

ポルトガル語の再帰動詞について解説しました。

いずれも厳密に分類できる代物ではなく、動詞によっても異なるので短期間で正確に理解するのは難しいです。

よって基本的には『他動詞の目的語を明らかにするために再帰代名詞』を使うというのがもっとも端的ではないでしょうか。

そのなかで動詞によって他動詞のみ、他動詞、自動詞両方あるものが混在しているので非常に分かりづらくなっているのです。

頻出する動詞から徐々に覚えていくのがよいでしょう。