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ポルトガル語と英語は似てるの?違いや類似点を細かく解説!!

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ポルトガル語と英語は似てる?

ポルトガル語と英語って似ているの?
英語の知識はポルトガル語学習の役に立つ?

ふとそのような疑問が沸くときがありますよね。

ポルトガル語の学習をしていると英語と似ている部分もあれば、似ていない部分も多くあるなと感じます。

そこで今回はポルトガル語と英語が似ているかどうかという点について紹介します。


ポルトガル語と英語はどのくらい似てる?

結論的には似ている部分と似ていない部分があります。

似ている部分としては

・語順
・一部の文法
・多くの単語

などがあり、似ていない部分としては

・発音
・動詞の活用
・主語が省ける(ポルトガル語)
・語順の自由度(ポルトガル語)

などがあります。

似ている点の、特に単語に関しては、英単語の形を少し変えるとポルトガル語単語になるようなものが数多くあることを強調したいと思います。

というのも英単語を知っていればポルトガル語学習に有利だからです。ポルトガル語で知らない単語でも、英語から類推して意味が理解できたりします。

これは英単語からポルトガル語単語の語彙力を一気に倍増できる!ということです。


ポルトガル語と英語が似ている理由

そもそも英語とポルトガル語はどうして似ているのでしょうか?

それは語源が同じだからです。

ポルトガル語と英語は語源が同じ印欧言語

languague family tree
出典元:https://www.theguardian.com/education/gallery/2015/jan/23/a-language-family-tree-in-pictures

これはA language family treeと呼ばれるもので、言語の起源や派生が一目でわかるようになっています。

これからもわかるように英語とポルトガル語はともに印欧言語です。印欧言語を使う民族は総称して「インド-ヨーロッパ語族」とも言われますね。写真では一番大元の幹に「INDO-EUROPEAN」と載っています。

インド-ヨーロッパ語族はインドからヨーロッパにかけた地域に由来する語族です。英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語はもちろん、北欧や東欧ではウクライナ語、ロシア語、ギリシャ語、またペルシャ語ヒンディー語までも含みます。

インド-ヨーロッパ語族の祖語はすでに死語となっていますが、語族自体は現在世界中で30億人にも及ぶのです。


詳しく見ると所属するグループが異なる英語とポルトガル語

language family tree
出典元:https://www.theguardian.com/education/gallery/2015/jan/23/a-language-family-tree-in-pictures

大元の起源は同じですが、英語とポルトガル語は詳細な分類では異なるグループに属しています。A language family treeでは、英語は「GERMANIC」、ポルトガル語は「ITALIC ROMANCE」となってますね。

つまり英語は「ゲルマン語派」、ポルトガル語は「ロマンス諸語」と呼ばれるグループになります。またドイツ語は、英語と同じゲルマン語派であることも分かりますね。

スペイン語、フランス語、ポルトガル語、イタリア語はいずれもロマンス諸語に分類されます。

英語もポルトガル語もフランス語から語彙が輸入

グループでは別ですが、英語はフランス語の影響を強く受けていると言われます。

なぜかと言うと、世界史の中でイングランド征服をしたノルマン人がフランス語を使用していたからです。これはノルマン・コンクエストという歴史上の出来事が大きく関係しています。

ノルマン・コンクエストとは、1066年のノルマン人によるイングランド征服です。当時イングランドに住んでいたアングロサクソン人は純粋なゲルマン語の、今では古英語を呼ばれるものを話していました。

しかし、征服してきたノルマン人がフランス語を使用していたため、フランス語の語彙が多く英語に輸入されたのです。

その例として、英語で生きている牛は「bull」や「ox」ですが,食べるに牛は「beef」ですよね。beefは牛を意味するフランス語が語源です。(現代フランス語ではbœuf)。


ポルトガル語と英語はどのくらい似てる?

ではポルトガル語と英語はどれくらい似ているのでしょうか?

次に、私がポルトガル語を学習していて感じるポルトガル語と英語の似ている点似ていない点を紹介します。

似ている点

まずポルトガル語と英語で似ている点を挙げます。

全体的な語順

語順は似ていると思います。

単純に考えればポルトガル語も英語も西洋言語。

「重要な内容を先に言う」というスタイルは同じです。日本語や韓国語は逆ですよね。

例えば、英語で

I study English.

はポルトガル語だと

Eu estudo inglês.

となります。日本語は「私は英語を勉強します」となりますよね。

だから全体的な語順はポルトガル語も英語も同じです。


文法

文法的にも似ている部分があります。

例えば完了形。ポルトガル語で完了形は「ter動詞+過去分詞」で成り立ちますが、この「ter動詞」は英語の「have」にあたります。意味も「持っている」という意味で同じ。

また受動態もポルトガル語では「ser動詞+過去分詞」となりますが、この「ser動詞」はやはり英語で言えば「be動詞」ですので、形は同じです。

このようにポルトガル語と英語では似ている文法が存在します。


単語

これがもっともポルトガル語と英語の似ている点でしょう。

なぜなら英語の形を少し変えれば、ポルトガル語の単語になるものが多くあるからです。その法則を理解すれば、ポルトガル語の語彙力を飛躍的に高める手助けになりますよ。

以下に代表的な例を挙げました。ほとんどは語尾が変化しています。また少しコメントを入れました。(英語→ポルトガル語)

-act → -ato
事実:fact/fato
行い:act/ ato

英語の「-act」がポルトガル語では「-ato」で終わる形です。それほど多くはありませんが、時折この規則の単語を見ます。

-ect → -eto
物体:object/objeto
プロジェクト:project/projeto

同様に英語の「-ect」がポルトガル語では「-eto」となる形です。英語とほとんど同じスペルですので、知ってなくても意味が分かりますよね。

-ent → -ente
勤勉な:diligent/diligente
知的な:intelligent/ inteligente
傲慢な:arrogant/ arrogante

これらは形容詞ですが、ポルトガル語では「e」がついて「~ンチ」と発音されます。ただし、単語全体の発音は英語とは違いがあるので注意。例えば、ポルトガル語の「diligente」は「ジリジェンチ」と読みますし、「arrogante」は「アホガンチ」と読みます。

-on → -ão
百万:milion/milhão
意見:opinion/opinião
連盟: union/união

こちらも時々見かけます。名詞が多いです。

-tion → -ção
コミュニケーション:communication/comunicação
連合:association/associação
シミュレーション:simulation/simulação

英語で「tion」で終わる語彙が多いように、ポルトガル語でも「ção」で終わるパターンは雨後の筍のようにあります。文中で突然出てきても意味が分かるレベルの違いです。読み方は全然違うので注意。またポルトガル語で「ção」で終わる名詞は女性名詞というルールがあるので忘れないように。

-able,-ible → -ável,-ível
可能な:possible/possível
不可避な:inevitable/inevitável
実現可能な:realizable/realizável

英語で「可能」を表す「-able」はポルトガル語では「-vel」となります。読むときは「vel」の前の「á」や「í」にアクセント記号がついているので、ここを強く発音します。

-ce → -cia
存在:existence/existência
科学:science/ciência
参照:reference/referência

この形も頻繁に見かけます。ポルトガル語では「-cia」というように「a」で終わるので、女性名詞となります。

-ty → -dade
優先:priority/prioridade
自由:liberty/liberdade
活動:activity/atividade

このパターンの名詞も多くあります。「-dade」で終わる単語は女性名詞となります。

-age → -gem
勇気:courage/coragem
画像:image/imagem
ガレージ:garagem/garage

たまに見かけます。

-sion →-são
バージョン:version/ versão
イリュージョン:illusion/ ilusão
結論:conclusion/ conclusão

こちらも多く見かけます。「-são」で終わる名詞は基本的に女性名詞です。

-ic → -ico, -ica
論理的な:logic/lógica, lógico
基本的な:basic/básica, básico
悲劇的な:tragic/trágica, trágico

この形の形容詞も多くあります。ポルトガル語では修飾する名詞によって男性形と女性形に分かれるので注意。

-ly → -mente
はじめに、元々は:originally/originalmente
垂直に:vertically/verticalmente
基本的に:fundamentally/fundamentalmente
一般的に:generally/geralmente

英語で「-ly」で終わるものは「-mente」を付ければ大体ポルトガル語の副詞になりますよ。

ただし、一部のポルトガル語の副詞は辞書で検索しても出てこないことがあります。例えば、「originalmente」は辞書に載ってませんが、英語の「generally」にあたる「geralmente」は載っています。

実際にしゃべるときは副詞を使いたくなることがあり、辞書になくても「-mente」を付ければ問題なく通じます。

-al → -al
真実の:real/real
誠実な:leal/leal
合法な:legal/legal

これらは英語とポルトガル語の形が全く同じですね。このような単語もあるのでやはり英語とポルトガル語は似ている部分があるんです。ただ読み方は異なります。

-ate → -ar
熟考する:meditate/ meditar
合法化する:validate/ validar
ためらう:hesitate/hesitar

これらは動詞の例です。ポルトガル語の動詞は「-ar」「-ir」「-er」で終わるものがほとんどですので英語の動詞がどうなるかというのも多少は予測できます。



似ていない点

次にポルトガル語と英語で、私が似ていないと感じる点を挙げたいと思います。

発音

ポルトガル語と英語の発音は似ていません。

英語はアルファベットの子音である「AEIOU」は場合によって17の母音に変化します。例えば、「apple」の「a」は「ア」と読みますが、「avex」の「a」は「エイ」ですよね。

ポルトガル語は多くの場合、ローマ字読みで対応します。ただし中には「s」「r」「x」など、複数の発音があるものもあります。また「ç」「ã」「õ」のように特殊なアクセントの文字があります。


活用

動詞の活用もポルトガル語と英語では大きく違います。

活用については英語のほうが簡単です。というのも英語の動詞の活用形は「現在形」「過去形」「過去分詞」に加えてせいぜい「現在分詞」「三単現のs」の5つくらいでしょう。

ポルトガル語は30種類くらいあります(笑)。

というのも主語が「一人称単数」「三人称単数」「一人称複数」「三人称複数」の4パターンあり、それぞれに対して「現在形」「完全過去形」「不完全過去形」「大過去形」「未来形」「過去未来形」に加え、接続法の「現在形」「過去形」「未来形」があります。単純計算では4×9で36パターンですね(笑)。

しかし、全く同じ形の部分もあり、およそ30パターンになります。

下記に「行く」という意味の「ir」動詞の活用の一部を載せました。

ir動詞 現在形 完全過去形 不完全過去形 未来形
一人称単数 vou fui ia irei
三人称単数 vai foi ia irá
一人称複数 vamos fomos íamos iremos
三人称複数 vão foram iam irão

全然形が違うことがお判りでしょうか?

ポルトガル語はこのように多くある活用形のパターンを覚えて会話で瞬時に使えるようにするのが最大の難関です。

よってポルトガル語と英語の活用は全然違うんです。


ポルトガル語は主語が省ける

ポルトガル語は主語が省ける点も英語と異なります。

英語は文法的に主語を省くことは出来ません。
例えば、「I have a book.(私は本を持っています。)」というのを「Have a book」とは言えませんよね。これだと文法的に命令形になってしまいます。

ポルトガル語では「Eu tenho um livro(私は本を持っています)」というのを「Tenho um livro」と言っても全く問題ありません。

先ほどポルトガル語は活用が多いことについて述べましたが、「tenho」というのは一人称単数形であるため「Eu(私)」を省略しても文法的に意味が通るのです。

ポルトガル語の活用を覚えるのは大変ですが、一度覚えれば、主語を省いて話せるので快適さを感じますよ。


語順の自由度

ポルトガル語は語順の自由度が高いです。

英語は基本的に語順を変えたりできませんが、ポルトガル語は思い付いた順で単語を並べても結構通じます。

例えば、「あなたは何歳ですか?」というときに「Quantos anos você tem?」というのが文法的には正しいですが、「você tem quantos anos?」と言っても問題なく意味が通じます。

英語でも通じるかもしれませんが、おそらくネイティヴには違和感が残るでしょう。ポルトガル語のほうが違和感が少ないです。

思い付いた順で口にすれば、なんとなく通じるので、ポルトガル語の学習者はどんどん話す練習をするとよいでしょう。


まとめ

ポルトガル語と英語は似てるかどうかということを紹介しました。単語や一部の文法のように、似てる部分もありますが、発音や動詞の活用のように似ていない部分もあります。

ただし、私自身の経験としては英語の単語を知っていてポルトガル語でも意味が理解できた!ということは多くありました。

よって英語の知識や技能に長けている人はポルトガル語の学習を効率的に進められるのでは?と思います。